お腹の中の命

もうすぐ出産。

楽しい時も、辛い時も、私は一人ではなかった。
この10ヶ月、お腹の中で違う命が私を見ていた。

ただひたすら不安になったりして
ひそひそと泣いている時、
もぞもぞと動くこの子に、
心配ないよ。
と声をかけ、酸素が行くように深呼吸した。

ひとりごとのように、色んなこと話しかけた。

光の色、パパの声、
たくさんの歌。
毎日毎日お腹を撫でて

朝起きたら1番にお腹の中の命が、
ちゃんと生きているのか確かめたくて、
わざと寝返りうってお腹に神経を集中した。

大人の都合で
産まれてきてほしい日もあったけど
そんなのこの子には関係ない。
横になれば広がるお腹の中で
楽しそうにグルグル泳ぐから
まだ私のお腹の中に居たいんだねって
光栄に思ったりもして

早く顔を見たい
はやくこの手で抱きたい
私のおっぱいに吸い付いて欲しい
お腹の上でからしかさわれない
愛しい我が子。

産まれるその瞬間
私か、この子か、
もしかしたら命をなくしてしまうかもしれない
そんな恐怖もあるけれど、
私たちなら出来る。
パパを絶対に悲しませない。
そうやって心の中で約束をして

今か今かと、その日を待ってる。